京都高低差崖会

京都高低差崖会は京都の凸凹地形を探索しています。平地ではいられなかった、高低差が生まれてしまった、京都ならではの「まちの物語」「土地の記憶」を読み解いていきます!

まぼろしの「大仏」:巨大すぎて変えられない地形

京都で観察できる、前近代の大規模な自然改変・人工地形といえば、やはり豊臣期の遺構です。豊臣期に造成された人工地形は御土居伏見城・城下町が有名ですが、他にも大規模な遺構をまだまだ見ることができます。

東山に巨大なマウンド状地形

今回ご紹介の地図は「京都市明細図」です。

京都市明細図とは
京都市明細図は、1,200分の1の縮尺で描かれた大縮尺の地図であり、いわゆる火災保険図(火保図)と呼ばれる地図の一種である。 1927年ごろに大日本聯合火災保険協会京都地方会によって作成されたもので、1942年まで部分的な更新が行なわれてきた。 その後、1950年から1951年にかけて、手書きによる彩色や書き込みが施され、戦後の情報も付け加えられている。 なお、京都市明細図の原図は、京都府立総合資料館において所蔵・公開されている。
ArcGIS-京都市明細図(Large Scale Maps of Kyoto City, 1927-1951)

京都市東山区の東山七条(東大路通七条通の交差点)周辺をクローズアップしてみました。三十三間堂の北側に、巨大な「マウンド」のような地形が描かれていることが分かりますか。見やすいように、マウンドの箇所を緑色に着色しました。

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● 図:東山のマウンド状地形(京都市明細図を改変)


● 現在の地図で確認

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続・近所の旧河道:上賀茂の小河川変遷

前回の続きです。自宅近所(上賀茂)の「菖蒲園川」について。詳細が分かってきたと同時に、菖蒲園川が流れる上賀茂全体についても自分のなかで理解が進んできました。


菖蒲園川の源流?

菖蒲園川は、明神川(上賀茂神社から社家町を流れる水路)から分流しています。これは文書が残る中世以降、近世を経て現代に至るまで変わっていません。そこで、この菖蒲園川と明神川の分流点を現地まで確認しに行きました。分流の地点は、上賀茂神社前のバスロータリーのすぐ東側にありました。

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● 写真:菖蒲園川と明神川の分流点。


● 地図:分流点の地点

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近所の旧河道:賀茂の小水路

京都市北部の上賀茂に住んで10年近くになりますが、先日近所を散歩していたら旧河道らしき小溝を見つけました。今まで気付かなかったなあ。

公園のなかの旧河道(?)

北山橋東詰を少し北に行った地点の「菖蒲園公園」の中に、「小水路」を発見しました。幅は50cmに満たない、本当に小さな水路です。今にも埋没しそうな「溝」ですが、上流では部分的に流れが地上化していました。

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● 写真:菖蒲園公園の溝(もしかしたら来週には埋まっているかも)


● 地図:菖蒲園公園の地点

そこでここしばらく、この「小水路」「溝」について探っていたのですが、意外と正体は立派な川であることが判明しました。

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御土居 on the 断層:地形が波打つ理由

天正19年(1591)、豊臣秀吉による京都の都市改造の一環として、京都を取り囲む城壁(惣構)が築造されました。「御土居」と呼ばれるその城壁は、土塁と堀から構成されていて全長は約23km。日本各地の惣構の中でも最大規模となっています。

凸凹に波打つ御土居 !?

今でも京都市北部を中心に、御土居は姿を遺構に留めているのですが、とりわけ京都市北区大宮土居町に残る御土居(大宮御土居)は保存状況が非常に良くてお気に入りです。人工地形の高低差として、京都市内でも最も雄大な眺めでしょう。

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● 写真:京都市北区大宮土居町の御土居(左側・土塁、右側・堀)


● 地図:大宮御土居の位置

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