京都高低差崖会

京都高低差崖会は京都の凸凹地形を探索しています。平地ではいられなかった、高低差が生まれてしまった、京都ならではの「まちの物語」「土地の記憶」を読み解いていきます!

ブラタモリ奈良に出演!:奈良中心部の凸凹地形

@chang_umeです。
NHKの大人気番組「ブラタモリ」に出演第二弾となりました。
みなさん楽しくご覧いただけたでしょうか!?

今回はタモリさんと「奈良発展の秘密は“段差”にあり?」をテーマに、奈良中心部の高低差・凸凹地形をご案内しました。ブラタモリ京都スペシャル「御土居編」の前回出演に引き続いて、奈良まで足を伸ばしつつさらに探索を深めた次第です。

f:id:kyotokoteisa:20150626135401j:plain
www.nhk.or.jp

一般に奈良は「平地」のイメージが強いと思いますが、ダイナミックな高低差が意外なくらいに潜んでいます。とりわけ、奈良の高低差は商店街や観光地のただなかに姿を見せていて、これぞまちなかの凸凹地形!と感嘆するような風景に巡り合えるのです。

まちなかの凸凹地形こそ、そのまちに生まれた特別な物語・エピソードをうかがい知ることができますね。これぞ京都高低差崖会の面目躍如といいますか…!

タモリさんも巡った奈良を歩こう!

というわけで、せっかくなので番組内でタモリさんと一緒に巡り歩いた道のりをみなさんも歩きませんか!?

まいまい京都にて、奈良高低差ツアーをやります!この機会にぜひ、タモリさん目線で奈良を探検しましょう!!

f:id:kyotokoteisa:20150629205339j:plain

  • 日時:8/8(土)・8/25(火)・9/5(土)・9/22(火・祝)、13:00~17:00
  • ルート:近鉄奈良駅 → 東向商店街 → 奈良基督教会 → 奈良市道路元標 → 興福寺境内(北円堂・中金堂・五重塔・南大門跡)→ 猿沢池 → 率川旧河道 → 元林院町(旧花街)→ 奈良町のまちなみ → 元興寺極楽坊 → 奈良町物語館 → 元興寺塔跡

参加申し込みについて

ご参加希望の方は、まいまい京都よりお申込みください。
定員に達し次第、締め切りなのでお早めにどうぞ!

■ 8/8(土)13:00~17:00
まいまい京都 / 住民がガイドする京都のミニツアー |【TV放送記念】タモリさんを案内したガイドと、奈良の高低差凸凹ツアー

■ 8/25(火)13:00~17:00
まいまい京都 / 住民がガイドする京都のミニツアー |【TV放送記念】タモリさんを案内したガイドと、奈良の高低差凸凹ツアー

■ 9/5(土)13:00~17:00
まいまい京都 / 住民がガイドする京都のミニツアー |【TV放送記念】タモリさんを案内したガイドと、奈良の高低差凸凹ツアー

■ 9/22(火・祝)13:00~17:00
まいまい京都 / 住民がガイドする京都のミニツアー |【TV放送記念】タモリさんを案内したガイドと、奈良の高低差凸凹ツアー


www.maimai-kyoto.jp

みなさんのご参加をお待ちしています!
収録の思い出話番組ではご案内しきれなかったポイントも盛り沢山です。

個人的には、東京の「渋谷川」旧河道の界隈に雰囲気がそっくりな「率川(いさがわ)」旧河道をぜひご覧いただきたいと。東向商店街南側の商店街「もちいどのセンター街]」を横切る旧河道・浸食谷は一見の価値アリです。

f:id:kyotokoteisa:20150628181752j:plain:w500
■ もちいどのセンター街を横切る「率川」旧河道(イイ雰囲気でしょう!?)

タモリさんの視線の先には…?

f:id:kyotokoteisa:20150626141233j:plain:w500

今回のブラタモリ奈良のワンシーンです。
さて、タモリさんが熱い視線を送っている先には…?
そこには、番組にとってキーとなる風景が広がっていました。

f:id:kyotokoteisa:20150626141833j:plain:w500

これぞまちなかの高低差!市街地にひっそりと息づいている崖面です。

なにげなく歩いてもまず気づくことがない、奈良の市街地に溶け込んだ凸凹地形がありました。番組前半、奈良基督教会の紹介地点でご案内した風景です。この風景を、タモリさんは鼻息荒く観察していました。

僕も嬉しかったですねー!何が嬉しいかといって、高低差に興奮・感動するポイントをタモリさんと共有できたこと。その瞬間、「高低差を好きでよかった…」と収録中に関わらず感慨にふけっていました。いやーよかったです。

こちらの崖面を改めてご紹介すると…

f:id:kyotokoteisa:20150626144959j:plain:w500

東向商店街のすぐ東側にある、日本聖公会奈良基督教会がこの地点なのでした。

東向商店街は奈良きっての商店街でいつも多くの人通りで賑わっていますが、商店街のなかにこれほど立派な崖面が潜んでいたのです。まさしくまちなかの高低差

奈良中心部の凸凹地形

今回のブラタモリでご紹介したとおり、奈良のまちには立派な高低差が走っています。東向商店街から奈良町にかけて、南北方向の崖線が連なる風景は奈良中心部の特徴的な地形といえるでしょう。

f:id:kyotokoteisa:20150626221811j:plain:w500
■奈良中心部の凸凹地形(以下、地形図は全てカシミール3Dを使用)

興福寺を中心に、西側の低地部とはっきり異なる地形が分かりますか。

古代・中世・近世と奈良の政治的・経済的なセンターだった興福寺、中世以降に奈良の市街地中心部として発展した奈良町、そして現代のセンターである奈良県、この全てが低地部ではなく段丘上面に位置しているのです。

ではさらに、この南北方向の崖線と段丘はいったい何なのか?

高低差は断層帯だった!

f:id:kyotokoteisa:20150626154108j:plain:w500
奈良盆地東縁断層帯

じつは東向商店街・興福寺・奈良町にかけて走る崖線、そして東側に発達した段丘面は、「断層帯」の一部なのでした。

奈良盆地は、断層帯を中心とした地形の隆起・沈降によって誕生しました。構造盆地と呼ばれる典型例です。そして、現在の東向商店街・興福寺の周辺に見られる南北方向の崖線・段丘は、奈良盆地を生み出した断層帯のうち「奈良盆地東縁断層帯」と呼ばれる地形なのでした。*1

巨大地震などによって断層帯付近で地層にズレが生まれた結果、上層の地層に「たわみ」が生じた地形を撓曲(とうきょく)といいますが、東向商店街・興福寺の周辺の高低差はこの撓曲地形だったのです。

f:id:kyotokoteisa:20150626155837j:plain:w500
■東向商店街近くの高低差を上面から

ちなみに東向商店街すぐ隣りの奈良基督教会の地点では、比高差が約10mもあります。まちなかの高低差として、かなり特徴的と思いませんか。

また近鉄奈良駅を出てすぐ、大きな道路(登大路)がはっきりとした高低差を見せています。この登大路の高低差も、奈良盆地東縁断層帯の一部です。奈良のまちが、いかに高低差の凸凹地形に恵まれているか!

f:id:kyotokoteisa:20150626160455j:plain:w500
近鉄奈良駅前の高低差(登大路)

奈良の“社会的地形”

そしてこの断層帯から生じた高低差地形こそが、奈良のまちが平城京以降も発展を続けてきたひとつのキーポイントとなりました。つまり崖線より高所の段丘上面が、奈良の伝統的な中心部として発展してきたという経緯です。

ここでもう一度、奈良中心部の地形を見てみましょう。

f:id:kyotokoteisa:20150626222118j:plain:w500
■奈良中心部の特徴的な地形

興福寺を中心とした凸凹地形が、奈良のまちにおいて歴史的・社会的に特別なストーリーを備えているように見えてきませんか? 地形とまちの姿を見比べたくなるような誘惑を感じてしまいます。

奈良のまちでは高低差が単に自然地形というより、まち自体を形作るような、いわば“社会的地形”として作用したといえるでしょうか。あるいはもっと一般化して、「まちの地形は社会的に構成されている」ともいってよいかと。*2

f:id:kyotokoteisa:20150626215457j:plain:w500
■奈良町から見た興福寺:周囲よりも一段と高い位置です。

今回の奈良をはじめとして、日本中さらには世界中のまちにもきっと、高低差を筆頭に様々な地形とヒトの生活が共存してきた歴史があるのでしょうね。

京都高低差崖会では、自然とヒトの両者が織りなす“社会的地形”を、これからも追いかけて行きたいと思っています。

御土居の歩き方: 4/24(金)TV番組「あさチャン!」に出演

@chang_umeです。
ブラタモリ京都に続いて、またまたTV出演情報のご案内です。

TBS系朝番組「あさチャン!」(午前5:30〜8:00)から、まいまい京都の「御土居ツアー」の取材を受けました。御土居ツアーに密着同行いただきながら、インタビューにて高低差&御土居にかける情熱も率直に語った次第です。ぜひご覧ください!

f:id:kyotokoteisa:20150422174630j:plain:w500
www.tbs.co.jp
www.maimai-kyoto.jp

取材でお伝えしたかったこと

取材のなかでは、京都高低差崖会的な御土居の歩き方について以下のようなテーマを重視してお伝えしました。

  1. 御土居の遺構:史跡指定地はもちろん住宅地の中に残る遺構
  2. 自然地形:台地・河岸段丘扇状地・断層(撓曲)といった自然地形
  3. 御土居の生活史:「境界」としての御土居。その上での生活史

取材を通じて特に、マージナルな立場から京都を理解する視点についてお伝えしようと努めました。

御土居が豊臣政権によって目に見える・体感できる「境界」として築造後、京都というまちの「輪郭」が画定されました。結果、御土居を挟んで対照をもった生活が営まれることになります。

f:id:kyotokoteisa:20150422171930p:plain:w500
■ 京都の「輪郭」としての御土居:京都一覧圖畫(元治元年・1864)

京都という言葉から連想される中心的なイメージとはまた異なった、マージナル・周縁的な生活像御土居の周辺で映し出されていったのです。そしてそれは観光都市・京都という一般的なイメージとも異なる、生活史としての京都像に結びつくと思います。

御土居の歩き方

したがって御土居を歩くとは、「はんなり」「みやび」だけではない京都像を過去・現在と感じる道行きでもあるでしょう。私たち自身の生きてきた歴史が、さまざまな喜怒哀楽を含むと同じように。

f:id:kyotokoteisa:20150422172636j:plain:w500
■ 水平社宣言「人の世に熱あれ。人間に光りあれ」:御土居に隣接する石碑

高低差・地形は私たちの生活の基盤にあるものです。高低差・地形へのまなざしは、そのまま生活へのまなざしであるはず。

京都高低差崖会ではこれからも高低差を通じて、そこに生活を営んだ人々の歴史に心を寄せていきたいと思っています。平地ではない土地の記憶とともに。(梅)

ブラタモリ記念:4月・御土居ツアーを開催!

f:id:kyotokoteisa:20150327190430j:plain:w500

@chang_umeです。今晩の「ブラタモリ京都・完全版」が楽しみですね(NHK総合・22:00~23:08)。前回放映ではカットだった、あんなシーンやこんなシーンが出てくるのでしょうか!? 皆さんに楽しんで頂けたら幸いです。

当日の収録は約2時間で(放映は20分ぐらい?)、実は放映内容以外でもタモリさんと熱く語り合っていました。タモリさんとは、初めてお会いするとは思えないような親密な空気が生まれて、御土居・地形・ヒトの暮らしなどについて大いに盛り上がった次第です。

www4.nhk.or.jp
headlines.yahoo.co.jp

4月、御土居ツアーを開催します!

京都高低差崖会のブラタモリ出演を記念して、4月に「御土居ツアー」を開催します。タモリさんと歩いた御土居、あの道この道を、タモリさんとの思い出話と一緒に皆さんと過ごせたら!

f:id:kyotokoteisa:20150108184429j:plain:w500

まいまい京都のイベントで開催予定です。参加ご予約は、まいまい京都のWebサイトからよろしくお願いします。

※ 要予約となっています。
※ 予約開始は本日3/27(金)22:00~

NHK総合「ブラタモリ京都 完全版」放送を記念して!タモリさんをご案内したガイドとともに、御土居でOh!ただいまより受付開始いたします◎【ブラタモリ記念】京都高低差崖会と、御土居でOh!巨大土塁にびっくり仰天~京都をぐるりと囲む巨...

Posted by 京都ミニツアー「まいまい京都」 on 2015年3月27日
www.maimai-kyoto.jp

御土居ツアーについて

今回は御土居オリジナルパンフレットも充実しています。安土桃山時代~江戸時代はもちろん、近代・現代に至る御土居の「全体史」がテーマとなっています。

  • 開催日程:4/11(土)、23(木)、29(水)
  • 開催時間:14:00~16:00頃(約3時間)
  • 集合場所:京都市バス停「紫野泉堂町」(にぎり長次郎の前)
  • 紫野泉堂町(集合) → 御土居(大宮地区)→ 住宅地で遺構探索 → 御土居鷹ヶ峰地区)→ 御土居史跡公園 → 交差点「千本北大路」(解散)※ 距離約2.5km

f:id:kyotokoteisa:20150327180631p:plain:w500
御土居&京都の過去・現在・未来を面白マップから!

f:id:kyotokoteisa:20150327180811p:plain:w500
■ 古地図・古絵図・古写真から御土居を読み解くと…!?

f:id:kyotokoteisa:20150327180831p:plain:w500
■ 凸凹地形図(カシミール3Dから作製)を片手に地形を感じる!

御土居でお会いしましょう!

今回のツアーでは、ブラタモリではご紹介できなかったポイントを数多く含んでいます。ツアーのテーマは主に3点。御土居の遺構探索バラエティに富んだ自然地形御土居周辺の暮らし、この3点を柱にご案内できたら。

f:id:kyotokoteisa:20141024104439j:plain:w500

  1. 御土居の遺構探索:史跡指定地はもちろん、市街地のなかに潜む御土居遺構を探します。高低差ファン・微地形ファン・遺構ファンの皆さん、絶品の御土居遺構を堪能してください!
  2. 自然地形を堪能する:今回の御土居が含まれる鷹ヶ峰台地周辺は、断層・旧河道・埋没谷・河岸段丘など京都盆地の中でもとりわけバラエティに富んだ地形が目白押しです!
  3. 御土居の生活情景:御土居とはすなわち「目で見える境界」です。境界には過去・現在・未来とどんな暮らしが広がっていたのでしょうか。「暮らしのなかの御土居」を体験します。

それでは皆さん、御土居の上でお会いしましょう。
ブラタモリ気分でお待ちしています!(梅)


kyotokoteisa.hatenablog.jp
kyotokoteisa.hatenablog.jp

【TV出演】3/27:ブラタモリ京都・完全版が放映!

f:id:kyotokoteisa:20150105212703j:plain:w500

@chang_umeです。多くの皆さんからご好評いただいた、ブラタモリ京都の「完全版」が放映されます。時間拡大バージョン!

www4.nhk.or.jp

● 3/27(金)22:00~23:08
NHK総合

NHKブラタモリ制作班の方によると、とくに「御土居」がさらに充実しているそうです。楽しみですねー。NHK内部でも御土居編が人気だそうで、「御土居みたいな内容でまたできないか!?」と制作班にリクエストも出ているらしく。

f:id:kyotokoteisa:20150321161155p:plain:w500
■ 京都高低差崖会・御土居パンフレット

おかげさまで、御土居の近くにいるとご近所の方から「NHKに出た人だね」と声をかけられることが頻繁になりました。ありがたいことです…。御土居地元の方から喜んでいただけることがなによりです!

この機会にぜひご視聴ください。

可視的な都市境界である御土居は、今に続く京都のまちの原型を形作りました。さらに今もなお、京都のまちなかに地形的・社会的に「高低差」「境界」を生み続けている御土居を通じて、私たちの生活するまち・社会への理解が深まればと思っています。

kyotokoteisa.hatenablog.jp
kyotokoteisa.hatenablog.jp

TV放映を機にまた改めて、御土居への関心・愛着が皆さんのなかで生まれたら!
今後とも京都高低差崖会をどうぞよろしくお願いします。(梅)

【告知】 2/8(日)フィールドワーク:「聚楽第跡地」で高低差探索!

f:id:kyotokoteisa:20141216080105j:plain:w500

chang_umeです。
2015年最初のフィールドワークは、聚楽第跡地」で高低差探索!

西陣界隈のまちなかに潜む高低差を探し歩きながら、聚楽第の遺構はもちろん、高低差の「場所性」を感じる内容です。

京都高低差崖会ブログでも「聚楽第シリーズ」として、付近の高低差を追い求めてきました。この機会にぜひ、現地で聚楽第の遺構と高低差を体感しましょう!


ご参加について

下記参加申込みページからお申込みください。


  • 参加費:資料代実費(500円)
  • 定員:15名(定員になり次第受付終了)

まちなかに潜む高低差から、「土地の記憶」と「まちの物語」を体感するフィールドワークです。平地と思われがちな京都の市街地は、意外なほど豊かな高低差が点在しています。ぜひ現地で確かめてください!

沢山のご参加をお待ちしています!(梅)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...